ロキソニンSシリーズ 違いについて

薬局・医薬品

都内のドラッグストアに併設している調剤薬局で勤務しています。

1類医薬品の購入に毎日たくさんの方が相談にいらっしゃいますが、圧倒的人気商品

ロキソニンS

冗談じゃなく、圧倒的に相談件数が多いですね。

なんとなくで選んでる方が多いのですが

3種類ラインナップがあるのですが、違いについてご存知ない方が多いので解説です。

そもそもロキソニンって何?

いまや飲んだことが無いという人のほうが少ないと思うくらいのメジャーな解熱鎮痛剤です。

NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)であり、痛み止めとしてだけでなく強い解熱作用もあります。

他のNSAIDsに比べても、腎臓への負担が少ないこと、解熱鎮痛作用が強く、比較的即効性があることなどから若い方から高齢者まで広く処方されます。

一方で注意点もいくつかあり、最も有名なものが

薬剤師
薬剤師

胃を荒らしやすいので、食後に飲んでください

と言われる、胃潰瘍をはじめとした胃腸障害ですね。

そのほかにも実は副作用や注意点がいろいろあります。

  • アスピリン喘息…NSAIDsを原因とする喘息発作。特に気管支喘息がある方に多い
  • 感染症の不顕性化…治療が必要な感染症の発熱や痛みを抑えてしまい、治療が遅れる原因に
  • TEN(中毒性表皮壊死融解症)、SJS(皮膚粘膜眼症候群)…重篤な皮膚障害

ちなみに、TEN、SJSといった副作用の報告数は、全医薬品の中でもトップ10入りしています。

まぁ使用されている件数が圧倒的に多いので報告件数が多いわけですが、確率としてはかなり低いです。

ちなみに、アセトアミノフェン(カロナール)なども発生数は上位です。

ちなみにロキソニンは2010年までは劇薬に指定されていました。

その翌年にOTC化されて今日に至るわけです。

若干の陰謀(?)を感じないこともない

病院で処方されるものと本当に同じものなの?

そもそも病院で処方、薬局で渡されるものと同じなんですか?

ロキソニン錠60mg

医療用医薬品の添付文書から引用です。

有効成分1錠中
ロキソプロフェンナトリウム水和物(日局)  68.1mg
(無水物として  60mg)
添加剤低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、三二酸化鉄、乳糖水和物、ステアリン酸マグネシウム
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1149019C1149_1_10/?view=frame&style=XML&lang=ja

ロキソニンS

一般用医薬品・要指導医薬品の添付文書から引用です。

成分分量1錠中成分分量内訳ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1mg(無水物として60mg)
添加物ヒドロキシプロピルセルロース,ステアリン酸Mg,乳糖水和物,三二酸化鉄
https://www.info.pmda.go.jp/ogo/K1101000003_09_01

成分の量や添加物も同一です。どちらも第一三共ですし、全く同じですね。

3種類のロキソニンSの成分の違い、効果の違い、注意点を見てみる

成分についてまとめて比較してみた表がこちら。

商品名成分
共通ロキソプロフェンナトリウム水和物68.1mg
ロキソニンS
ロキソニンSプラス酸化マグネシウム33.3mg
ロキソニンSプレミアムアリルイソプロピルアセチル尿素60mg
無水カフェイン50mg

メタケイ酸アルミン酸マグネシウム100mg

青マーカーのマグネシウムがロキソニンによる胃腸障害の予防用に配合されています。

マグネシウムは下剤のイメージがある方が多いですが(実際にOTCの下剤として販売されています)、同時に制酸作用があるため、胃酸で胃を荒らすのを予防する効果が期待できます。

マグネシウムは少量の配合なのでそこまで心配はないのですが、飲み合せ(相互作用)が非常に多い成分ですので、一緒に飲んでいる薬がある場合には相談してほしいです。

アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン50mgの2種類は鎮痛効果の増強目的で配合されています。

アリルイソプロピルアセチル尿素は眠気が出るため、運転される方や仕事で眠気が出ると困る方は要注意です。

個人的には正直、アリルイソプロピルアセチル尿素の鎮痛作用増強はあまり期待できないと感じてしまいますが、ほんの少しでも、痛みを早く、強く抑えたい! という方は選んでみても良いかなと思います。

ただ、ロキソニン自体もかなり早く効果も出てきますし、プレミアムはあまり選ぶメリットを個人的には感じません。

効果でるまでの時間などについてはこちらの記事をご覧ください。

まとめ

ロキソニン自体は非常にいい薬です。

私自身も頭痛があるときや風邪などの際には比較的服用する頻度が高いです。

ただし、副作用リスクから1類医薬品として、薬剤師から説明をしたうえでの販売が必要な商品であり、正しい用法を守って使用することや、副作用リスクについて理解したうえで服用することが大切です。

もちろん、ほかの解熱鎮痛剤が安全というわけではないですが、「医薬品」という性質をしっかりと把握して上手に薬と付き合っていただければと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました